交換日記

中学生の頃、クラスのある男子に誘われてハイキングに参加した。クラスの男子だけの探検隊みたいなもんだ。
もともと山だ、森だ、キャンプだ、飯盒炊さんだってのが好きだったので何度か一緒に参加した。目的地は割と近場の地味な場所で、廃坑跡の洞窟を探検したり、河原をずんずん上流へ進んだり。けれど、言い出しっぺの隊長には結構思い入れのある場所だったみたい。野郎ばかりの3.4人で何度か行くうちに、ある日隊長が私にこういった。
「今度、クラスの女子も誘ってみないか?」
「いいねぇ!」
「じゃ、お前頼むね」
「えっ?俺?」
その時何気に気付いたんだ。こいつ女子を誘うために俺を仲間に入れたのか…ってw
私は特別モテたわけではないけれど、女子の誰とでも気軽にお喋りできるキャラクターだったから
「今度一緒にハイキング行かない?」っていうと
「うん!いくいく!」
ってすぐに何人か集まった。
かくしてご一行様を引き連れて目的地へ向かったわけだけれど、誘った以上私は、この女子達を楽しませなきゃいけない義務感に駆られ、洞窟では足を滑らせないように手を取り、お昼時の良いタイミングで女子の用意したお弁当を披露させ、持参したバーナーでお茶を沸かし、雰囲気作りにハーモニカまで演奏したw
で、これらのハイキングの記録というか、旅行記のような、感想文のようなものを、隊長は半ば強制的にメンバーに回して書かせていたのだけれど、それがまったくつまらなかった。わたしたちはそれを隊長の名前を付けて「Kノート」って呼んでたんだ。
そこで私と親友が、これじゃ面白くないと、「Kノート」に日々雑感を盛り込み、ギャグを連射し、イラストまで載せた。
それが受けて女子にまで回されるようになり、終いには独立して我々の個人のノートまで出回った。果ては別のクラスの女子にまで行き着くもんだから、私がノートを渡しに行くと、周りの男子に
「えっ!?おまえら交換日記やってんの?」
って言われる始末。
今になって親友と
「あれって、今で言うブログだよな?」
「だよな?俺たち結構先行ってねぇ?w」