夜明け前

風の音がする。
行く年来る年の粛々とした静けさとは裏腹に、凍える闇を切り裂く一際激しい風が吹き抜けたその時
「新年あけましておめでとうございます」
新しい年の始まりだ。
それにしても寒い夜だ。
あまりの寒さに一瞬躊躇したけれど、えぇい!とチャリに跨ってえべっさんへ初詣
向かう途中でさらに再び引き返そうかとためらいながらも着いてみれば深夜とは思えぬ賑わい。
大声ではしゃぐ酔っぱらいの少年たち。
年明け深夜のお祭り騒ぎに乗じて思いっきり女子に格好付けてみせる男子たち。
私たちも昔はああだったんだろうか…なんて考えるうちに何だか可笑しくなってきて、テキ屋で買い食いもせず酒も飲まず、おみくじだけを引いて帰った。
半吉…?なんじゃそれ?中途半端な(-"-; こんなの引いたことないや。
病気  長引くが命に別状ない。  やなことを…(-"-;
夜には別れた恋人からの挨拶メール。新年早々風邪を引いたとか。
お前も気をつけなさいよ?と三十路半ばのオッサンに向かって、まるで息子に諭すようなものの言い様にハタと気づいて己の歳を思い知る謹賀新年。