キスもしないで

別れたあの子の誕生日が過ぎてもう何日にもなる。
忘れていたわけじゃぁないんだ。
あの子は今年も私の誕生日にお祝いのメールをくれたけれど
私はそうはしなかった。
いつまでも振り向かないで
それよりいっそ
はやく別の新しい誕生日が君の心に刻まれますように。
こんなことにこだわる私こそ
女々しい未練を負っているのだと
分かってはいるけれど
きっとあの子は立派な男になるはずです
今は気付いたセクシャリティーに気負っているかも知れないけれど
いずれ家庭を持つかも知れません
そして何より親孝行な息子になる子です。
だから私は
あの子の26歳の門出を
キスもしないで行かせてしまいました。