行き場のない

いつも行くスーパーで毎日のように見かける爺さんがいる。車椅子ではなく手押し車のようなものに乗っていて、足で器用に漕いで店内を買い回りしている。もっともこの爺さん決して歩けないわけではなく、時折立ち上がっている姿も見かける。一日のほとんどをスーパー周辺で過ごしているようで、休憩スペースや駐車場辺りで佇んでいるのをよく見かける。ただその時に両手のひらを高く空に向けてかざしているのが独特なポーズでいつも気にかかるようになった。何らかの効果を狙ってそうしているのかはわからないけれど、睡眠効果を期待してとかなら陽の光に向けるだろうし、いったいどういう意図があるのかが分からない。

そんな爺さんのことを買い物客のオバハンたちが
「きっと他に行き場がないのよ。まぁわたしたちも同じようなもんだけど、、」
そう陰口をたたく。独り者なのか、どういう家族構成なのかは知らないけれど、いずれ明日は我が身だよ。最近はその方が楽なもんだから私も必ずショッピングカートを使うようになったしね。買い物量の多少にかかわらず。レジの女の子も買い物かご運んでくれたり優しく接してくれるような歳にもなったようだし。