老人と温泉

仕事で忙しくしていると脚というか股関節が痛む。
そういう時は普通のホテルを取って2日間みっちりといつもの温泉施設で湯治する。温泉に行く前は軽くびっこを引いているくらいだけれど帰りには普通に歩けるようになる。まるで杖立温泉の言い伝えのあれのようだ。痛みには熱めの湯が良いのかもしれない。温浴効果というわけだ。駐車場整理の爺さんともすっかり顔なじみになって、施設の入り口に一番近い駐車場がいつもすぐ満車になるので他の第二、第三の駐車場へ回ろうとすると、構わないから入り口横の宿泊者専用駐車場に停めて行けと案内される。脚を引きずっているのを何気に見ているのかもしれないね。

さてその温泉だけれど、親父や爺さん家族連ればかりだけでなく最近は若い子も友達同士あるいは単身で訪れるものも多い。私が若い頃なんぞ温泉になんて一ミリも興味なかったし、まして大人しく湯に浸かっているなんて死ぬほど退屈な事にしか感じなかったけれど、今時の子はどうなんだろう、、爺さん並みにじっくり湯船につかっている姿を見るにつけ時代も変わったと思わされる。もっとも我々の若い頃はスーパー銭湯なんてものもそこいらに無かったし、家に風呂はあったので銭湯にさへ滅多に入ったりはしなかったから、興味を持つこともなかったのかもしれない。
「青年が大人しく舗道を歩いていたら化石になってしまう」とはヘルマン・ヘッセの言葉だけれど、青年がおとなしく温泉に浸かっていたら老人になってしまう。ような気がするよ。