まだ啼く蝉の声に

ただいま東北で引き継ぎ中です。
あの頃二十歳の男の子も今や37のオッサンだ。偶々オフの日で忘れず送ったお祝いメールに彼からの返信。昔の日本には誕生日を祝う習慣はなかったそうだね。新年明けてお正月に皆一斉に年を重ねる「数え年」で歳を数えていた。それにしても月日の流れは速い。
偶然休みの合った友人達と山間の温泉銭湯へ向かう。
源泉の溢れる露天に浸かっていると
夏の名残のようにまだ蝉が一匹啼いていた。
呼び覚まされた過去たちが足し湯の音に溶け込んで
ゆるゆる水面を流れてゆくよ。