聴こゆもの

ついこの前まで温暖化のせいかいつまでも暖かい日が続くね、、なんて思っていたもののようやく近頃は朝晩肌寒く本来の季節感感じ始める霜月初め。

最近ワイヤレスイヤホンを買った。主な使い道はyoutubeで音楽を聴くときに。
若い頃はこだわりのステレオセットやスピーカーを設えてのめり込むように聴いていたのに、最近はなぜにこうも何を聴いてもあの頃のように感動しないんだろうと思えばそれもそのはず、テレビやPCのスピーカで聞き取れるのは話し声程度のもの。もっともモスキート音が聞こえなくなるように多少可聴域が狭くなっているのも一因ではあるんだろうけれど。

先日はショパンコンクールなんかも開催されていて、最終選考に残らなかった者たちへの評価はさもありなんという感じだったけれど、優勝者を含む結果に関しては一体このコンクールとやらは何を基準に審査をしているのだろうと考えさせられるものがある。力量だけで言えばあの日本人男性が優勝していてもおかしくはない。好きか嫌いかで言えば決して好きなピアニストではないけれど。

ストリートピアノ系のものもあまり好きではなくて、中にはおや?と目を引く素人も極まれにはいるけれど、そのほとんどは難曲をこれでもかと弾いちぎってテクニックをひけらかすものばかり。騒がしいだけで感性に乏しく聴くものを引き込む演奏ではない。サーカスや京劇では無いのだから。そのテクニックがあるなら何故もっと音に向き合って作品の面白さを引き出せないのかと思う。

この間連れと呑みに出たときに
「中学の頃お前がよく、ホロヴィッツの弾くショパンのワルツは
 ここんところがこんな音がするんだ。ってしつこく言ってたろ?」

「あぁ、なんか楽譜でも違うのかと思う程、どうやって、
 どんなに弾いてもホロヴィッツのような音は出ないんだ」

「あの頃何言ってんだコイツ?と思ってたけれど、
 今になってyoutubeなんかで観ててようやく分かるような気がしたよ。
 まぁ、よくもまだ毛も生えそろわないようなガキがそんな音の深みにまで語っていたもんだな?」

「ほう、お前もやっと俺の感性に追いついてきたか。」

「しばくど!!」