風薫る

GW後半、昼間は夏日な汗ばむ陽気も朝夕は清々しい風薫る過ごしやすい日々が続いた。
前半は次の段取りもあって家で仕事をしていたのだけれど、相変わらず脚は痛むし、何だか馬鹿々々しくなって湯治に出かけることにした。

けれどいつも行く白浜などは、ここぞとばかりにコロナ過の損失を取り戻そうとでもいうのか普段の倍以上の値段設定の宿ばかりで、そこまでして行くほどの価値を見出せないのでパス。代わりに普通のホテルをとってお気に入りの温泉施設へ通うことにした。昔は「蔵の湯」と言ったのだけれど、経営が悪化し、一口百万?位で新しい泉源を掘削する資金を募り、出資者には年間パスなどの特典を謳ったあげくある日突然倒産するという取り込み詐欺のような事件があって暫く閉館していた。それを新しい事業者が引き取ってリニューアルし、宿泊施設なども併設して営業している。もっとも独りでは泊まれないんだけれど。

今どきのスーパー銭湯よろしく露天風呂の種類も増え壷湯も作り、サウナに岩盤浴、あかすりにリクライニングソファーの休憩室も作られた。ただ私の興味はそこではなくて唯一昔から変わらない主浴槽。どこかの蔵を移築して設えた趣のある湯屋には多くの窓からメロウな陽が差し込む。陽の加減によって粘土色にもオレンジ色にも見える温めの濁り湯。この湯が雰囲気と匂いとともに好きだ。昔検査でMRIに入るとき興味本位で目を開けてから閉所恐怖症になったのだけれど、この湯屋は開放感があってストレスを感じさせない。まさに癒しの湯だ。

3日通って足の痛みも股関節の違和感も和らいだ。
最終日の朝、別れた恋人から誕生日のお祝いメール。しばらく近況をやり取りする。
最近地方転勤からまた東京に戻ったようだけれど、オイタはほどほどにねw

お母さん、僕を産んでくださってありがとう。