野猿温泉

山鹿に移って三日目。いつもの湯治生活。温泉も地元率が多いものの、県外からの旅行客や帰省客で賑わう。
大抵湯舟では、湯口近くの熱いと云うよりは新鮮な温泉の辺りを常連長老格の爺様が陣取っていたりする。其処から下流に向かって年功序列するかのようにも思える様はまるで野猿公苑のボス猿。
時に私のような余所者が掟やぶりに、そんなボス猿の隣に陣取って大きく溜め息をつくと一瞬不思議な緊張感が走る。
暫くするとやおら爺様が話し掛けてくる。昔はこれを単に人懐こい田舎の人ならではの事と思っていたけれど、何だこいつ?て言う余所者への警戒心から、おそらくは探りを入れる意味もあるのかも知れないねぇ。
ともかくも、ボス猿、ぁいや、爺様と暫く談笑して通過儀礼を済ませると快適な温泉生活が保証されるわけだ。w