さくらさくら

出張は温泉三昧だったものの、いまひとつ仕事と長旅の疲れが抜けないので再び蔵の湯へひとっ走り。朝一の空いた温泉でじっくり浸かり、昼前になって家族連れのガキ達がはしゃぎだしたところで出てきた。
偉大なる将軍様が3発目の花火を打ち上げた日の午後は、まるで何事もなかったかのように穏やかな晴れ間が広がった。
帰り道根来寺の傍を通るが、この時期花見の客でとんでもない事になっているので脇目で見ながらスルー。さっさと家へ帰って、ママチャリで近所の河原の桜並木へ。ちょうど誰もいないベンチを一つ見つけ、よっこらしょと腰掛け、コンビニで買ったビールを空ける。
何やら木の上が騒がしいので見上げてみれば、ヒヨドリたちが頻りに花の蜜を吸ってはあちこち飛び移る。そのせいだろうか、時折風に吹かれては桜が花ごと、
くるりくるり、くるくるくるりと舞い落ちる。あぁ、こんな様をなんというんだっけ、どう表現する言葉があったっけ…?
そんな事を想いながら、オッサンは独りあんぐり口を開けたまま桜を見上げ
二本目のビールを開けた。