耳を澄ませば

世にホロヴィッツオタクなんて沢山いるし、中には自身の演奏をネットで公開してるような人もある。けれど、そんな人の演奏を聴いてて思うのは
「この人一体ホロヴィッツの何を聴いてたんだろう?」な疑問。
巨匠から受けた強烈なインパクトだけが暴走して、自身の演奏はハチャメチャなことが多い。もっとも、あの孤高の巨匠の魔法に罹れば、ピアニズムの迷宮に迷い込むか、いっそピアノなんて辞めてしまいたくなるかまで追い込まれても不思議ではない。私だって、彼のペダルを使う脚を見ていたら
「ごめんなさい、参りました(-"-;」って言いたくなる。
妙なポージングで恍惚の表情を作ったり、肘を上げたり下げたり、手首を裏返したり…
実際んなことしてたら、本当に自分の出してる音を見極める余裕はあるのか?wピアノに限らず、どんな楽器も演奏家にとってオナニーのアイテムではないのだから、反面、緻密なまでの分析を解せる冷静さがなきゃ、人の心を惹く演奏は無理だな。
書画に於いてもそうだけれど、空白の美とか、間とか、そこから匂い浮き立つ主題とか…
そういう物は音楽にも同じ事だ。もっと耳を澄まして聴いてごらん。
きっと巨匠達の残したメッセージが聞こえてくるって。響きに込めた想いが…